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偉人よりも、世間では畸人とされてきた人物のほうが、或いは歴史的モニュメントより、時流に取り残された「遺跡」のほうが、時代の「のぞき穴」としてはむしろふさわしく、外の景色を案外うまく映し出してくれるのではないか――。30人、25の場所を丹念に辿った、時代の「負け組」たちの物語。
[目次] 第1部 唯我独創の国から 第1章 疾風怒涛、時代の寵児たち |
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離島航路 立身出世 リゾート開発 選挙 千里眼 レジスタンス |
─“島酔い”と最後の聖戦 ─諭吉の影を追い続け ─楼門に託した「理想郷」の夢 ─「同情」という風を起こし ─「透視術」で日本中席巻 ─噴火口は町有地なり |
海運事業家 川畑當築 ジャーナリスト 野依秀市 事 業 家 宮原忠直 代 議 士 高橋権六 「超能力」者? 御船千鶴子 熊本県阿蘇町長 河崎義夫 |
第2章 栄光なき天才たちの肖像 |
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ゴミ・アート 浮世絵 二番走者 農民演劇 職人気質 パブリック・アート 島唄 漂白 風狂 |
─社会変えると信じた ─収集に生きる証し求めた ─「もう一人の佐伯」の悲劇 ─「鄙」の閉塞打破へ夢追う ─料亭文化とともに消えた技 ─旧世代への挑戦状 ─路傍こそわが舞台 ─歌壇に刃向け、野に死す ─美に境地求めた自由人 |
美術家 殿敷侃 コレクター 今西菊松 洋画家 横手貞美 医 師 安元知之 料理人 小川清 彫刻家 日名子実三 旅芸人 里国隆 歌 人 宗不旱 禅 者 小林雲道人 |
第3章 アカデミズムの傍流に乗って |
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血液型神話 わかる算数 発行物質 焼酎 明石原人 不平居士 金魚 |
─現代に生き続ける錯覚 ─最小の練習で最大の効果 ─ホタルに、命燃え尽きて ─死後も抱き続けた麹菌 ─消失が生んだ考古学のドラマ ─唐寺に憑かれた男 ─アカデミズム傍流の大家 |
教育学者 古川竹二 数 学 者 遠山啓 生物学者 神田左京 有用カビ研究者 河内源一郎 博物学者 直良信夫 郷土史家 宮田安 水産学者 松井佳一 |
第4章 時代の波にのまれながら |
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武士道 戦場の武術 名前 華僑 潜行五千里 聖戦 発明考案 スポーツ |
─変形した「自己犠牲」の精神 ─刀折れ矢尽き、なお闘う ─少数民族としての「在日」の人権訴え ─貫いた中国人の誇り ─未踏の中央アジア潜入八年 ─ホラは吹けても神風吹かぬ ─科学技術による「国家改造」 ─常に世界標準を意識 |
葉隠研究家 栗原荒野 柔 道 家 牛島辰熊 牧 師 チォエ ・ チャンホア 貿 易 商 陳世望 特務調査工作員 西川一三 郷土史家 筑紫豊 言 論 人 清水芳太郎 体育指導者 岡部平太 |
第2部 西日本“現代遺跡”行 第1章 現代の“遺跡”を歩く |
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ボタ山温泉 別荘文化 流転の島 オレンジベルト 途絶えし祈り 集団離村 進化するビル 遊里 九大外人宿舎 カクレキリシタン |
─美しく切ない「ヤマ」の残骸 ─湯煙に消えるガーデンシティー ─開拓、無人化、石油、宇宙…… ─そして山に石垣が残った ─商品経済が解体した信仰共同体 ─ふるさとは野生化し始めた ─放埒包み込んだ「平和の象徴」 ─豪華極めた近代の「加速装置」 ─消える「お雇い」制度の生き証人 ─八百万の神々とマリヤ様 |
福岡県穂波町 大分県別府市 鹿児島県・馬毛島 佐賀県大和町 長崎県小値賀町・野崎島 宮崎県西群市寒川 北九州市八幡東区 熊本市 福岡県早良区 長崎県 |
第2章 時代のうつろひのなかで |
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スローガン建築 スクラップ 民芸の里 無言の語り部 廃遊園地 大立て看板 炭焼き 大煙突 赤煉瓦 |
─田園に鎮座する新幹線公衆便所 ─船体に刻んだ捕鯨の盛衰 ─しぶとく、したたかな下手物窯 ─田園・住宅地に居座る軍事遺構 ─消えたときめき、あこがれ、歓声 ─原発めぐるさまざまな「希望」 ─忘れられた国境の漂泊者 ─岬の町にそびえる「世界一」 ─米軍基地のなかの「日本」 |
長崎県佐々町 山口県下関市 福岡県高田町 宮崎市 北九州市小倉南区 宮崎県串間市 長崎県対馬 大分県佐賀関町 長崎県佐世保市 |
第3章 つわものどもが夢のあと |
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シルバーリゾート 白い巨塔 コウモリトンネル オートポリス ブームの墓標 酪農団地 |
─「まちづくり」の町の白亜の廃墟 ─博覧会ブームのノッポな置き土産 ─鉄道の夢だけが走った ─泡は消え、サーキット場だけが残った ─あるベンチャー企業の栄光と蹉跌 ─大草原の大きな夢は…… |
大分県湯布院町 長崎市 佐賀県唐津市 大分県上津江村 福岡市早良区 熊本県 ・ 阿蘇 |
記者ノート─北里晋、蔵本康慶、藤田中、嶋村初吉、野中彰久 あとがき─藤井通彦 |