みずのわColumn
みずのわ出版代表 柳原一徳が青弓舎サイト内コラム「ある日の編集者」Vol.27(2003年8月19日)に執筆したコラムです。
青弓社 http://www.seikyusha.co.jp/
五年ぶりにお盆休みをとり、山口県は周防大島に帰省してきた。
周防大島(屋代島)は、瀬戸内海では淡路島、小豆島に次いで3番目に大きな島で、属島を含めて人口約2万人。古くはハワイ移民の島、最近では長寿の島として知られ、大島・久賀・橘・東和の4町からなる。ここでは、来年10月に4町合併を控えており、新町名について現在13の候補が上がっている。
周防大島町、屋代島町は、まあ順当なところか。新大島町、大島新町。全国に「大島」と名のつく島が多々あるとはいえ、某政党の如く「新」をつければ事足れりの安直さ。瀬戸美町、瀬戸海町、南瀬戸町、夕凪町、サザンセト町。何ヲカ云ワンヤ。
極めつけのどセンス、しあわせ町。長寿の島だから、ということなのだろうが、どうにかならんかね。でも、地元の記者によると、合併協の中ではこれが結構根強い人気らしい。
さいたま市、さぬき市、東かがわ市、四国中央市、南アルプス市等々、宛名書きすらイヤになるような新市町村名の数々。気ぃ悪いから、私信では旧市町村名で送り続けてやろうかと思ってはいるのだが、遠からず「宛所不明」で舞い戻ってくることになるのだろう。地名に込められた歴史が、こうして途切れていく。
合併後の新市町村名について悪口雑言を書き連ねたが、他人のことばかり言ってもおれない。名前をつけることは難しい。本の表題にせよ、章のタイトルにせよ、安直につけたらアカンなぁとつくづく思う。
早いもので、ウチも創業7年目に入った。この間作ってきた本について振り返るに、僅かばかりの駄作はあるが、総じてイイ線いってるかな、と思う(自画自賛だろうが)。必然から生じたものは、やはり強い。
「名は体を表す」はずの新市町村名に、あの程度の名称しかつけることのできない市町村合併じたい何ら必然はない、ということなのだろう。
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